専業投資家を決意させた「E S B I」と「r > g」

専業投資家になろうと思うきっかけとなった本が2冊あります。

1冊は『金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント』(ロバート・キヨサキ著)、もう1冊は『21世紀の資本』(トマ・ピケティ著)です。

 

『金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント』はお金に関する本としては有名であり、読まれた方も多いと思いますが、ざっくりと内容を説明すると、世の中で収入を得る方法は、

Eクワドラント:Employee(従業員)

Sクワドラント:Self-employed(自営業者)

Bクワドラント:Business owner(ビジネスオーナー)

Iクワドラント:Investor(投資家)

の4つに当てはまり、EとSのクワドラントは労働の対価によってお金を得る労働収入、BとIのクワドラントは自分が労働をしなくてもお金が入ってくる不労所得であり、お金に縛られない生き方をするには、E又はSからB又はIのクワドラントに移動するべきであり、そのための道筋が書かれています。

この本を読んだ当時の私はEクワドラントにいましたが、投資も行っていましたので、将来的にはIクワドラントへの移動を考えるきっかけとなり、その道筋を意識し始めました。

ただし、この本を読んだのは40代前半で仕事にやりがいを感じていましたので、EとIの両方に所属し、Iクワドラントで収入を得ることで、お金に縛られないEクワドラントを理想と考えていました。

 

その後、10年ほど経って読んだのが『21世紀の資本』です。

こちらも有名な本なのですが、お金についての本というよりは経済書であり、長編でかつ難解な内容です。

私も全ては理解できませんでしたが、資本主義の仕組みそのものが、所得配分の格差を拡大させるものであり、その格差是正に向けた提言が書かれています。

その格差のメカニズムを説明するのが、「r(資本収益率)>g(経済成長率)」という有名な不等式ですが、これは「資本家が資本を投じて得る不労所得は、労働者が自らの労働を投じて得る勤労所得より効率が良い」ということも表しています。

正直なところ、格差是正の提言については、なるほどねといった程度の関心でしたが、格差のメカニズムについては、インパクトがありました。

特に日本は経済成長率が低く、すなわち労働所得の成長率も低いため、その格差はさらに拡大されていくと思われます。日本の収益率も低いではないかと言われる人もいるかと思いますが、それは資本を日本に投じた場合であり、米国や成長著しい国に投じれば資本収益率を大きくすることができます。資本は国を簡単にまたげますので、ますます労働より有利になります。

それを理解することによって、『金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント』で意識したIクワドラントへの移動を本気で考えるようになり、そのために投資の勉強や投資資金の確保などを真剣に開始しました。

 

価値観やライフスタイルなどにより一概に労働者より資本家の方がいいとは言えませんが、キャリアチェンジやライフシフトなどを考えるときの参考として紹介しました。